第5章 体育祭が!!来る!!…一歩手間
あれから程なくして相澤先生が僕の病室にやってきた。
あれ?僕君に部屋の場所云ってなかったんだけど。
「どうだ?具合は」
これお土産、と枕元にゼリー飲料が置かれた。
いや何。
僕別に好きじゃない…いや、好きですありがとうございます。
「ぼちぼちってとこかなぁ。健康体だけど、月に一度の定期検診と被ってね」
「その検診ってのは?お前の吐血と関係あるんだよな?」
やっぱりそこ気になるかぁ。担任な以上聞かない訳にはいかないっぽいから仕方ないんだけど。
「先生は、自分の身体能力を上げる為に身体を弄った事ある?」
「無いな。リスクを背負うより鍛錬した方が合理的だ」
「確かに。僕の身体は、リスクを背負ってるんだ」
「は」
驚いた顔をこちらに向ける先生。分かるよ。そうなるよね。薄々勘付いてはいたけど、信じたくなかったという表情かな?
「ふは。僕の之はきっと自分への戒めだろうね」
「どういう事だ」
雰囲気が険しくなった。先生とプロヒーローの顔が顕著に出ているねぇ。きっと貴方はヒーローの鏡だよ。よく知らないけど。
「前世、と云う物を信じるかい?」
「無いだろそんなもの」
「だよねぇ。普通はそうだ」
「…あるのか?」
当然の反応。今まで信じてこなかったものがあると言われた時疑うに決まっている。
…否、違うね。これは僕を試しているのか。
治くんにでも言われたかな?
「さぁ?でも僕はその記憶が鮮明に残っている」
「…彼奴と同じこと言いやがる」
「治くんか。確かに彼なら、」
「彼奴は、お前に会いたくない理由を一つだけ教えてくれた」
…その理由は、多分、きっと、
「もう誠人に手を汚して欲しくない、それが彼奴の願いだそうだ。東条は、その、人を殺めた事が」
「あるよ」
「…それは何時の事だ」
手が震えている。それは、怒りか、哀しみか。