第2章 入試、そして
「っぁー…疲れた、、、、」
「お前あんなに速かったんだな」
「ん、あー、うん、僕の個性」
「まさか二つ持ちか?」
試験は無事終わり帰っていいよとの事なので一旦帰宅する為に電車に乗った。轟くんと一緒に。
彼は個性婚の両親から産まれたらしい。
僕の神ノ知恵が言ってる。他人をあまり詮索したくないのだが。
「二つ持ちというか、僕の場合は、個性から派生するんだよね」
「……そうか」
それっきり黙ってしまった彼。なに?僕地雷でも踏んじゃったかな。
「ただいまー」
「おかえり、誠人。疲れた?」
「んー、あんまり。シャワー浴びたらさ、東京行きの電車に乗るから」
「東京?行きたいの?」
「まぁね。でも行かなきゃ駄目だから」
「そ。分かった。ホテルとかはどーすんの?」
そう言いながらお風呂の準備をしてくれる母。優しい。
天使かな貴女は。
「昨日のうちに予約した」
「わぁお」
「お金は現地で払うから、」
「了解」
普通の母親とか言うのだったら止めるのだろうか?
生憎僕は普通が分からない。
彼女は家族と言うには距離がある。年の離れた友達みたいな感覚だ。
お金というワードが出てきた為、彼女はそっと机の上にカードを出してくれた。
「これ、誠人の口座から引き落とされるから」
「ありがと」
「私これから出掛けてくるね。東京、楽しんでね」
是、目的は横浜だが。
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「誠人もね。行ってきます」
柄にもなく抱き締めてしまったのは気の迷いだろうか。