第3章 それぞれの想い

(…ま、仕方無いけどさ)




俺は、大野さんがどれだけあのヘタレの事を愛しているのかを知っている


ずっとずっと、胸の奥に仕舞って蓋をしようとしていた彼への想いが通じた今

大野さんがどれだけ幸せなのかも、良く解っていた




…だって俺は、大野さんが秘かに翔さんを想っていた時間と同じ位

いや

それ以上に長くあの人の事を想っていたのだから…



だから、ずっと彼だけを見てきた俺には

そんな事、手に取るように解るんだ




ニ「…まあ、解ってたところでそんなもん、何の役にも立ちませんけどね」




俺は床に寝転がったまま天井に向かってボソッと呟いた




俺は、ずっと大野さんが好きだった


それこそ、無名のJr時代からずっと

あの人の才能と美貌に惚れていた



だから、俺としては


あの不安定で危ない鉄骨を

「怖いかどうかまだ解らない」

とか、終わった後もまだそんな間の抜けた事を言っているあの人が、飄々とクリアするのを見ても


そんなの、大野さんにかかれば同然だとしか思わなかった



…まあ、そのカッコ良さと可愛さに惚れ直しちゃったりはしましたけども。