第2章 training
『棘、すっごい上手…!
次はこっちの腕に呪力を集めてみて!』
「うーん…こう?」
「お〜、棘やるじゃん」
高専に戻ってきた棘と呪力コントロールの練習をしていれば、通りすがった硝子が棘の頭をわしゃわしゃと撫でてくれる。
満面の笑みで飛び跳ねる棘は年相応で、なんだか安心する。
ハイタッチを求められて手を出すと、私の手をポンっと叩いて、"ごじょー!"と大きな声を出しながら校庭にかけて行った。
「棘、上手いじゃん」
『呪力コントロールはすぐできそうだよね!』
「…他、なんか問題あるの?」
『あ…っとね…多分、呪力総量が、私より棘のが多くて。私は気をつけていれば、こうやって普通に話せるけど…
棘は気をつけていても、呪力なしの言葉を意図的に話すのは難しいかもしれないの』
「なるほどね〜、呪言師って大変」
頷きながら硝子と2人で校庭の方を向けば、悟と傑に飛びつく棘が見える。
高専にいれば、呪言にかかってもみんな理解があるけれど、小学校中学校はそうはいかないよね…
『棘に無口を貫くようにって言うのもなぁ』
「さっきみたいに呪いが籠りようがない言葉なら良いんじゃない?」
『うーん、食べ物の名前とか?』
そう顔を見合わせると、"それじゃ会話できないじゃん"と笑われてしまい、つられて私も笑ってしまう。
ポケットから彼女がタバコを取り出すのが見えて、それを奪うと頬を膨らませる。
身体に悪いよっていつも言ってるのに!
苦笑いしながら、耳にサラサラの髪をかけて校庭に歩き始める彼女の後を追って小走りする。
『ちょっと!?』
「どうせ長生きできる世界じゃないんだから大丈夫だって〜」
『えぇ…さ、寂しいこと言わないで!』
「ははっ、なんかあったらかぐらが私を治してよ」