第1章 enrollment
シャワーを浴び終えたらしい悟は、"じゃあお先に〜"と私の肩をポンと叩いてからバスルームから出て行ったが、1人になってもしばらくは緊張が解けずバスタブの中でぐるぐると悟のことを考えていた。
これからも…
高専の中でも私、ずっと振り回されちゃうのかな
さっきみたいな近い距離で…また一緒にお風呂入るなんてことがあったらどうしよう…
そう早いままの鼓動を感じながら、自身もシャワーを浴びなくてはとゆっくりバスタブから出る。
でも、棘が呪力をある程度コントロール出来るようになるまでは大丈夫、だよね…!
古くからある高専には無い綺麗なシャワーを使うと、少し気分が楽になってゆっくり息を吐き出したんだ。
お風呂から上がり、髪を乾かしてからベッドルームへ向かうと、大きなベッドで彼が気持ち良さそうに寝ているのが見えて、思わず口角が緩む。
本当に綺麗な髪とまつ毛だなぁ
起きていると意地悪で少し身構えてしまうけれど、こうしていると可愛いな、なんて
今日はほとんど身体を動かしていないからかあまり眠気は無くて、夜景の見える窓の前に座る。
『こんな綺麗なら夜景…田舎には無かったなぁ』
そう改めて息を呑んでいると、ふわりと背後から腕が回ってきて振り向くと、
「これから何回でも見せてやるっての」
『ふふっ…悟はお金持ちだなぁ』
「まじで俺かぐらのことめっちゃ好きだから。
ほんと、どこにも行くなよ」
『行くとこなんて無いから大丈夫だよ』
そう振り向けば、少し驚いたような顔をしてクスリと笑われる。
少し眠そうだな、悟
"ベッド行こ"と言うと、何故かため息をつきながらも立ち上がる彼。
変なこと言ったかな?私…
その後は特に何かを言われる事もなく、そのまま2人で手を繋いで眠りについたんだ。