第2章 training
"なぁ?"と悟が他の2人を見てハハッと笑う。
もう動けるようになったのだから棘の前でそんなこと言わなくても…
棘を地面に下ろして口内で呪力をぶつかり合わせると、その痛みで顔を歪ませるその男の子の喉にちゅっとキスを落とした。
立ち上がって頭をポンッと撫でると、ふらりと倒れる棘。
傑がそんな棘を抱き上げると、困ったように笑った。
「喉の痛みでギリギリ意識を保っていたんだね、可哀想に」
「ひー…棘、大丈夫そう?」
『疲れてるだけだと思うから寝かせてくるね!傑ありがとう。
それから、びっくりさせてごめんね』
「幼いとはいえ重いだろう、私が運ぼう」
そう歩き出す傑にお礼を言いながら、小走りで着いて行くと、背後から悟に名前を呼ばれて振り返る。
首を傾げると、悟が何かを言いかけたところで、別方向から声がして、
「おい悟!硝子!この前の報告書が出てないぞ!」
「げぇ…夜蛾先生」
「あー、忘れてたかも」
「書類も無くしたんだろ、早くこっち来い!」
「「はーい」」
"後で部屋行くから〜"と悟に不機嫌そうに言われて苦笑いする。
2人とも忘れてたんだ…
クスクスと笑う傑の隣に再び置いつくと、私も笑いながら棘を覗き込む。
『やっぱり棘は可愛いね』
「あぁ、起こさないように気をつけないと」