第2章 training
そう硝子に言われて、笑い返すとポンッと背中を叩かれて腕を組まれる。
そっか、ある程度の病気なら私が治せば良いのか…
出来るようにならなきゃ…!
校庭に到着すれば、棘を抱き上げている悟と微笑んでいる傑がいる。
『棘、また出来たの?』
「うん!ねぇ!もう一回やる!【見てて】!」
『待っ…!棘…!』
久しぶりに背中がゾワリと震え立ち、すぐに棘に駆け寄るが間に合うはずもない。人間の速度が音速を超えることはないから。
呪言…!
耳と脳を呪力で覆っていた私は何も無いが、やはり油断していた悟と硝子、傑はカチコチに固まって、棘の方を瞬きをせずに見続けている。
「ゲボッ、あ"、ぅ…」
『棘!わ、そっか、3人に呪いをかけたから…!』
棘の首を撫でながら、未だ棘を見続けている3人を見回す。
あらら…
3人は呪言にかかっているけれど、反転術式を使うよりも早く解けるだろう。
一旦、棘を…
「クソッ!またかかった…!」
「ははっ、私は初めてだよ。なかなか凄いな」
「ひゃー、目が乾いてるぅ」
『良かった、みんなすぐ解けて』
そう3人が目をパチパチをさせている様子を見て、一安心しながら悟の腕にいた棘を抱き上げる。
呪言から解けた3人がギャーギャー言っているのを見ると、やっぱり重症なのは棘本人だ。
「ケホッ…!」
『ちょっと待ってね、痛いよね…可哀想に…』
「どっちかっていうと可哀想なの俺らじゃね?」