第1章 enrollment
数秒間裸のままバスルームに立ちつくしていれば、磨りガラスの向こうでパサリと衣類が床に落ちる音がしてハッと身体を動かす。
悟、本当に入ってくるつもりなんだ…
急いでシャワーを手に取り、身体を洗い流す。
シャワーを止めてきゅっと音が鳴ると同時に、背後でカチャリと音がして、背筋が凍るような気分になる。
早く、お風呂の中に隠れなきゃ…!
そう入浴剤で白く濁った泡風呂に身体をつけると、あー疲れたぁとほぼ同時に同じバスタブに入ってくる悟。
『きゃあっ、さと、る…!』
「まじでこんな癒されることある?超最高なんだけど」
『んっ、そこで、話さない、で?』
広いバスタブの中で背後からお腹に腕が回ってきたかと思えば、そのまま引き寄せられ、彼に背中を預けるようにしてピタリと抱きしめられたのだ。
私の肩に彼の顎が預けられて、さらにぎゅっと両腕で抱きしめられる。
もちろんこんなに肌と肌が誰かと触れ合ったのは初めてで、緊張と恥ずかしさで頭の中が溢れかえってしまう。
悟の腕、全然びくともしない!
クスリと笑う声がダイレクトに耳に届き、少し脚を動かせば彼の足に少し当たってしまい、さらに縮こまっていく身体。
「かぐらの肌スベスベでやば…
…そんな怖がんなよ大丈夫。今日は触るだけだし」
『だ、だけ、だとしても…恥ずかしくておかしくなりそう…
ねぇ、お風呂、別々にしよ…?』
「はぁ?絶対やだね、逃さねぇ」
そうお腹に腕をまわされたまま、彼に覗き込まれるように目が合わせられる。驚きで、目を見開いて少し後ずされば、その先は彼の腕の中で再び身体が固まっていく。
悟の身体、熱い
私もきっと熱くなっちゃってるよ…
私を覗き込んでいる彼の口角が少し上がり、喉がひゅっと鳴る。
何するつもり…!?