第1章 enrollment
悟の腕の中で、一緒にお風呂に入る恥ずかしさと彼に何かお礼がしたいという2つの気持ちを天秤にかけていれば、プチリと自身の胸から音がして視線を移す。
制服のボタン…?
……脱がされてる!?
『さ、悟…!』
慌てて彼の手を掴むと、そのまま絡め取られて恋人繋ぎにされてしまう。
クスリと笑った彼に目を見開けば、
「やっぱり優しく待ってやるなんて、俺らしくねえよなぁ?」
『へ?』
「強制連行だ」
『きゃ!ちょっ、ちょっと!?』
パサリという音とともに、ボタンが外されたワンピースの制服が下に落ちていく。
元々オフショルに近い私の制服は鎖骨あたりのボタンを外すだけで簡単に脱げてしまうのだが、悟の手際の良さに圧倒されてしまう。
キャミソールと下着だけになってる!?
さっきまで優しい笑顔を向けてくれていた人とは思えないような何かを企んでいるような笑顔に、背中を冷たい何かで刺されたような気がしてしまう。
男の子に裸なんて見せたことないのにお風呂に入るなんて…!
悟の腕、全然離れてくれない!
「体術で俺に勝ったことねぇんだから諦めろって」
『で、でも!恥ずかしいよ!お願い悟。これ以上脱がさないで?』
「あー…その格好で言われてもナァ。
どうせ結婚したら毎日でも見るんだから良いだろ?」
『ま、毎日!?きゃっ、まっ、うわぁ!』
意地悪な笑みで応えた彼は抵抗する私の服をするする脱がしていき、裸になった私をバスルームに押し入れる。
い、今…!
絶対見られた、よね…!?
「すーぐ俺も入るから、かぐら先入ってて〜」
『なっ、に言って…』