第1章 enrollment
コンコン
かぐらの部屋にノックをして昨日の夜を思い出すが、あまり記憶が無い。
携帯を出せば、時刻は7:35。いつもと大体同じ時間だ。
ガチャリとドアが開き、驚いた様子のかぐらが出てくる。
今日はニーハイか…なんかエロい。
『おはよ。俺、頭いてーんだけど、かぐらは大丈夫?』
「お、おはよう、悟。私は大丈夫だけど…今日は棘いないよ?」
『!…知ってるけど?』
棘が居ないのに迎えに来た俺に驚いているようだが、こちらからすると、棘が居ない今こそ1秒でも長く一緒にいたい。
っていうか、今かぐら…
何事も無かったかのように、俺のこと、"悟"って呼んだ?
初めて酒を飲まされたせいか、ズキリと痛む頭を押さえながらも、思わず上がってしまった口角を戻さずに、彼女を抱き寄せた。
何か言いたそうに見上げられても、離す気にはなれなそうだ。
『俺はかぐらに会うために来てんだから、棘いなくても来るって。
…なぁ、もう1回呼んで?』
「!!…さと、る……悟?もう行かないと」
『もう1回』
かぐらを抱いたまま彼女の部屋に滑り込むと、彼女を扉に押しつける。片腕を彼女の頭の上について閉じ込めると、彼女の頬がほんのり赤く染まっていく姿に、加虐心がそそられる。
名前で呼ぶようになったの、傑の入れ知恵か?
サイコーなんだけど。
俺を見上げた彼女と目が合ってクスリと笑うと、胸の前で両手をぎゅっと握って控えめに口を開く彼女に耳を澄ます。
「さと…んっ、ぁ」
『くちゅ…あ?聞こえないんだけど』
「なっ、ずるい、よ…」
俺の名前を呼び終わる前に、開いた口に自身の舌を侵入させる。
学ランをくしゃりと掴まれるが、抵抗されることは無くて、その事実が心を満たしていく。
『クッ…かぐら、好きだよ』
「!!さと、る、ずるい…」
『急に名前で呼んでくる方がずりぃだろ。…もう1回していい?』
「だ、だめ!」