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五条君に恋に落ちるお話【R18】

第1章 enrollment







午前3時の高専敷地内の境内の階段。

おそらく誰もいないこの場所で、かぐらの膝枕で目を閉じる。

ぴくりと動いた彼女をいじめたくなり、彼女の片手を捕まえて軽く握るが、抵抗される様子は無く、私を気遣ってくれているのだと感じて、彼女が少し愛しくなる。

誰かに膝枕なんてしてもらったのは初めてだ。

こんなにも、落ち着けて、心が洗われているような感覚は久しぶりで、悟という存在を忘れてしまいたくなる。

悟は昼に、硝子と私を連れ出すとこう言った。


"今日、禅院の奴らが高専に来る。
恐らく、かぐらに接触するからその時に言ってやるんだ。

かぐらは禅院じゃなくて五条に嫁入りするから諦めろってな。"


部屋に帰ってきた悟の機嫌の良さから見て、かぐらがそれに了承したのは間違いない。
けれど、それを私と硝子に言って来ないということは…かぐらが口止めしているのだろう。

全く。
自分も硝子もそうだが、かぐらに甘すぎだ。

彼女の同情を買われてしまう経歴に加えて、綺麗な容姿と心。

みんなが好きになるのは必然だった。



『かぐら』

「ん?」

『またこうして癒してくれるかい?』

「こ、こんなのでいいの?」

『ははっ、悟には言わないでくれ。嫉妬されてしまうからね』

「それは、そう、かも…」



手を繋いでいない方の腕で目元を隠して、かぐらと一緒に笑う。

既に悟の好意はかぐらにかなり伝わっているようだ。

キスマークをつけられている事に気付かないくらい、近い距離にいたという事実に少しの羨ましさを感じながらも、さすがの行動力だと感心と呆れが合わさった複雑な気持ちになる。



「夏油君、いつも棘の相手してくれてありがとね」

『あぁ。私も楽しいから問題ない』

「ひぁっ、ん!」

『クッ、脚が冷えてしまったね。帰ろうか』



起き上がって、かぐらの太腿をスカートの中5センチくらいまで撫で上げれば、夜風で冷えてしまったのか冷たい。

私のその行動に大きく身体を揺らして、口元を片手で覆う彼女。

可愛い声。
もう、聞いてしまったよ。

恥ずかしそうに瞼を伏せる彼女を、握っていたままだった手を引いて立ち上がらせると、パッと慌てて手を離される。

これはいじめたくなるな。



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