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五条君に恋に落ちるお話【R18】

第1章 enrollment






私が話し終えれば、また、さらに驚いたような顔を見せた夏油君に首を傾げる。

何か、変だったかな…?


「ご両親を亡くしていたとは知らなかったよ。辛かったね」

『あっ…そっか。

そこまでは噂になってないんだね…大丈夫だよ』

「それで禅院に見つかってしまったわけだ」

『あはは、そう、なの。

私を探してたっていう事も知らなかったし、御三家のことも、この前、五条君に教えてもらって、初めて知ったから。色々びっくりで』

「何かあったら悟でも、私でも、何でも言うといい。私達は最強なんだ」



そう冗談混じりに言う夏油君の優しさに、擦り減っていた心が少し埋まるような不思議な感覚に陥る。今が初めてじゃない。高専に来てからまだ10日ほどしか経っていないのに、この期間に何度もみんなに救われている。

私、ここに来れて、良かった。


『ふふふっ、ありがとう。みんなのこと、もう大好きになっちゃったよ』

「おや?それは嬉しいね」

『夏油君も何かあったら何でも言ってね』

「ははっ、それじゃあその時は頼むよ」

『な、なんか馬鹿にしてる?!』



私の質問に答えずに楽しそうに笑う夏油君。

私だけでは頼りにならないかな?

でもちょっとくらいの傷なら治せるし、きっと少しは役に立てるはずと言い聞かせて、彼の腕を軽く叩けば、さらに笑われてしまう。

絶対馬鹿にされてる、けれど、先程彼にかけてもらった言葉の嬉しさの方が大きくて、もうっと呟くだけにとどめる。



『そろそろ寮に戻る?』

「いや、それじゃあ早速1個いいかい?」

『え?…!!』

「少し、このままでいさせてくれ」



突然、夏油君が横になったかと思えば、私の太腿を枕にして片手がきゅっと繋がれる。彼のサラサラの髪が太腿の至る所にあたり、くすぐったい。

それに…!
なんで、手、まで…?

月明かりと街灯に照らされて、瞼をゆっくり閉じる夏油君。

夏油君、疲れてる…?

棘と一緒にいたのは私だけではない。
夏油君も日中は割と、棘のいる空間にずっと居た。

硝子も、もしかしたら凄い疲れてるかもしれない。
五条君は…あまり、呪力で頭を覆ってなかったから分からないけれど。

そう思えば嫌がることなど出来ずに、冷たい夜風に吹かれながら、少しの緊張に耐え続けたんだ。




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