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五条君に恋に落ちるお話【R18】

第1章 enrollment






『んっ…』


ちょっと頭痛いな…。

目を開いてしばらくすれば、硝子と夏油君が雑魚寝をしていることに気付く。

そうだ。
硝子が五条君にお酒をたくさん進めて、彼だけすぐにベッドで寝てしまったのだ。
私もかなりのお酒を飲まされてしまったからか、寝た時の記憶があまり残っていない。

硝子と夏油君に近くに置いてあった毛布をかけると、五条君の部屋を後にして、夜の高専を散歩することにする。

みんなで遊ぶの、楽しかったなぁ。
お酒と煙草はダメだけど、ね。

冷たい夜風が気持ち良くて、階段の途中で立ち止まる。



『早く、一人前の呪術師になりたい』



棘の呪言を受け止め続けられるくらいに。

きっと、棘は今、ご両親と過ごせて幸せだろうけれど、今回私が、棘にこの言葉しか使ってはダメと指定した"うん"と"ありがとう"以外の言葉だって発したいだろう。もっと色んな話をしたいだろうに。

そろそろ、棘の呪力コントロールの練習始めないといけないな。



「かぐら。大丈夫かい?」

『!…夏油、君?ごめん、起こしちゃったね』

「気にしないでくれ。かぐらと話したくて付いてきたんだ」


私と??

そう首を傾げると、夏油君は私にペットボトルの水を差し出して、階段に座る。

いつも結んでいる髪の毛を下ろしている彼に、新鮮な気分になる。



『ありがとう』

「棘が側にいる時は聞きにくくてね。

呪術師になったのは最近だと聞いているけれど、大丈夫かい?」

『大丈夫だよ。寧ろ、私を受け入れてくれる場所があってありがたいくらい』



そう夏油君に笑かけながら隣に腰を下ろすと、彼は、少し驚いたように優しく笑って、頬杖をついて私の方を見てくれる。

ここの人は、本当にみんな優しいな。


「へぇ。

ご両親が必死に呪術界から隠していた1人娘だったのだろう?」

『えっと…そうだったみたいだけれど…

その時は私、本当にこの世界のこと何も知らなくて。
だから、両親が亡くなった時に一気に全部説明されて…ほとんど、理解したようで頭をすり抜けちゃったというか、ね、あはは。

本家にお世話になるからには、やっぱり何か役に立ちたいし!
術式受け継いでいて、ラッキーだったなぁ』




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