第1章 enrollment
『美味しい…!ふふっ』
そう硝子に詰め込まれたピザを受け取れば、彼女はまたゲームに集中し始める。
硝子の緩い雰囲気、癒される…!
そう気が緩んでいれば、立っていた五条君が隣に座り、ピザを持っている手首を掴まれる。
!?!
『ご、ごじょ、君!?』
「本当だ。うまー」
私の手を引き寄せて、食べかけのピザを頬張り、私の指をわざとらしくゆっくり舐めた彼。さらにグイッと手首を引かれて、彼の胸に倒れ込んでしまうと、耳元で、
「傑にも触らせんな」
!!
私にしか聞こえない声でそう言うと、何事も無かったかのように、まだ本調子じゃねーの?とケラケラ笑ってくる。
五条君が引っ張るから!
そう目で睨んでも、ん?と優しく言われるだけで…
触らせんなって言われても…
頭ポンってされただけで、阻止しようがないのだけれど。
「かぐら、さっきは気付かなかったけれど…」
『ん?げと、…!』
ぴとりと夏油君の指先が首筋に触れて、身体が揺れて緊張が走る。
首、何かついてる?
視界の淵で、首を傾けた五条君が半分瞼を伏せており、さらに緊張が走った。
絶対、五条君怒ってる。
夏油君早く、ゴミでもなんでもとって…!
さらには、ゲームをしていた硝子もこちらを見て一瞬首を傾げると、あからさまに嫌そうな顔になり、その汚いものでも見るような顔に少し傷つく。
夏油君の指が私の首筋の上で動き、また全身が熱くなっていくのに耐えきれず、夏油君の手首を掴んでゆっくり降ろさせる。
『なにか、変?』
「かぐら、禅院家の人間に何かされたのか?悟、一緒に居たんだろう?」
「んー?いや。それ、俺」
『なんの、こと?』
そう問えば、五条君にニヤリと笑われて首を傾げていると、
!!
突然、後ろから肩を掴まれて五条君から距離をとらされると、私の顔の真横に硝子の顔があって、
「問題ないよかぐら。はい!私が治してあげた!」
『え?な、何を…?ありがとう?』
「危険だから悟から1番遠い席に移るんだ」
「は!?まーいっか。あとで、な?」
『え?あと、で?』