第1章 enrollment
『五条君?あの、今日は私、自分のお部屋に戻るよ?』
「いーから。な?」
な?って言われても…
さっきも不在の夜蛾先生の机に私の課題と、五条君が書いておいてくれた報告書を置いたのだが…
私がいつも書いている報告書より圧倒的に文字数が少なく、雑すぎたのが見えて不安しかない。
何か言おうと彼の方を見上げたが、勢いよく肩を組まれて五条君のお部屋の方へ連行されてしまって、
呪力は確かに回復しきれてないけれど、体調は本当にもう大丈夫なのにな。
「その髪可愛いな」
『あ、お団子…ありがとう?』
!!
私の背中を押しながら進んでいた五条君が突然立ち止まり、彼を見上げれば、背中にあった彼の手が首後に移動していて、後退り出来ずにびくりと身体が揺れてしまう。
待ってこれ、本当に逃げれない…!
「目閉じろ」
『え…』
「閉じないならそれでもいいけど」
『え、待っ…んっ、ふ、んん』
近付いてくる彼の顔を避けることもできず、昨日ぶりに彼と唇が重なってしまう。しかも、何度も…
五条君、どうして…?
熱くなっていく全身に脚の力が抜けてしまい、至近距離で五条君を見上げれば、ニヤリと笑われて腰を支えられる。離してくれない五条君を睨んでも、長いキスは終わらなくて、それどころか、彼は窓の外を気にしている様子だった。
『は、ぅ…ごじょ、くん…?』
「息切らしちゃって、かーわい。もう1回、な?」
!?
壁に力の入らない身体を押し付けられて、五条君の膝が私の脚の間に入り込む。
恥ずかしい、恥ずかしいのに、何の考えも無しにこうしてるとは思えずに五条君の視線の先を確認する。
やっぱり五条君、窓の外を見てる…?
自身も窓の外を向こうとするが、そんな余裕は口内に彼の舌がゆっくり侵入してきたことで無くなってしまう。背中にぞくりと刺激が走り、五条君の制服をきゅっと掴んだ。
そうすれば、彼はゆっくり離れて、校舎の入り口の方に顔を向けたのだ。
『ふ、ぁ…ごじょ、くん…?』
「これはこれはどうも、禅院家の皆さん。
かぐらはこの通り俺にゾッコンだからさ、諦めなよ」
禅院…!?
急いで口元を手で隠して五条君と同じ方向を向こうとすれば、彼にぎゅっと片手で抱き寄せられ、視界は彼の制服でいっぱいになる。
見るなって、こと?