第1章 enrollment
『終わったよ。少しは楽になった…?』
そう言いながら五条君の膝の上に再び腰を下ろすと、五条君の身体がピクリと揺れる。
??
あれ、何か硬いのが太腿に当たってる…?
『五条君?』
「サンキュー、最高だわ」
『う、うそ!凄い辛そうだよ?』
そう五条君を覗き込むと、彼は目を見開いて私の肩を掴んで軽く押し返す。
五条君、顔が凄く赤くなってる。
身体も熱いし、熱があったら大変…!
「これはそういうのじゃねぇから大丈夫。
かぐら、一旦シャワー浴びてこいよ」
『あっ!シャワー浴びて無いのにベッド使っちゃってごめん!
明日は朝早いから自分のお部屋戻るね。安静にしてないとダメだよ?』
ベッドから急いで降りると、五条君が面倒そうにハイハイと返事をする。
本当に、分かってる…?
めくれたスカートを軽く整えれば、いつもとは違う違和感に気付き五条君の方を向いた。
いつもは、スカートに隠れる太腿に小刀と、背中に特級か1級の呪具を隠し持っているのだけれど…
身につけてたはずの呪具が…ない!?
「シャワー浴びたら、また戻ってこいよ。
明日の朝、呪具返すから」
『なっ!えっ…?』
「病み上がりで何かあるかもしれねーから、明日まで1人にさせるなって硝子がうるさかったんだよ」
『硝子…わ、分かった。急いで浴びてくるね!』
頭を掻きながらあくびする五条君。
また五条君に意地悪されているのかと疑ってしまった申し訳なさと、みんなに心配をかけてしまっている申し訳なさで、胸がきゅっと締め付けられる。
時計を確認すれば、時刻は23:30。
五条君の睡眠を削るわけにはいかないと思いながら、急いで五条君のお部屋を出たんだ。