• テキストサイズ

こちら、MOB飼育係2[dzl]

第5章 毒蜘蛛おんりー目線


 俺は部屋の中を見て回って、そこにいる四体のMOBに挨拶をしてみた。一体はパンダドズルさんで、よく陽の当たるところにいる。
 パンダドズルさんも飼育カゴの外に出ていいみたいで、いつもみんなにステーキを配っていた。俺ももらったけどお腹いっぱいだったから半分だけにしたら、もういいの? ってびっくりされたんだよな。
 ぼんブレイズさんは、いつも飼育オリの隅で寝ている。確かブレイズってMOBも俺と同じで危険生物じゃなかったっけ。壊れたオリが薄い壁でツギハギにしたままなんて、飼い主はよっぽど警戒心がないんだな。
 ウパおらふくんとエルダーガーディアンMENは水槽の中にいるので外には出てこないみたいだ、と思っていたら、ある日ウパおらふくんが出ていたところを見かけた。ウパおらふくんはお喋りが好きみたいで、色んなMOBに話しかけていた。
「あれ……もしかして毒蜘蛛のおんりー?」
 ある日、日なたでボーッとしていたらウパおらふくんに話しかけられた。そうだけど、と答えたら、ウパおらふくんは人間みたいにケラケラ笑った。ウーパールーパーは人間にモテるらしいけど、MOBの中でもモテる気がした。可愛らしい生き物だ。
「あのね、僕ずっとおんりーと喋りたいと思ってたんよ」
「……なんで?」
「喋ったことなかったから」
「ふぅん……」
 理由はよく分からなかったけど、こうしてわざわざ話しかけてくる仲間もいた記憶がなかったのでその時は自覚出来なかったけど嬉しかった。俺がどっち向いたらいいか分からないで戸惑っていると、ウパおらふくんが窓の外を眺めて何か叫んだ。
「あ、空から何か降ってきた!」
「え?」
「ほら、外なんか白くない?」
「あ〜、これは雪だね」
「へぇ、ユキって言うんや」
 ウパおらふくんが窓に張り付いて熱心に雪を眺めているから、俺は彼の隣にいてもいいかな、となぜか思うようになった。
「また一緒に雪を見よう」
「うん!」
 即答してくる辺り、ウパおらふくんは人たらしならぬ、MOBたらしな気がした。
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp