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〖呪術廻戦〗大人しく抱かれてろ【R18】

第5章 あの人と出会ってしまった




思えば、五条くんのことを考えていたから、兄のことを必要以上に考えなくなっていた。


五条くんで頭の容量が埋まっていたのかも、なんてね。


忘れられるわけのない思い出は2つ。


1つは五条くんと水族館に行ったこと。


もう1つはやっぱり兄のこと。


繋いだ手が私に冷静さを分け与えてくれていた。


高専の門が見えてきて、五条くんはぴたっと立ち止まった。


「ここまでだな」


「ここまで…ね」


いつまでも温もりを共有している訳にもいかない。


繋ぎ合った手はどちらからともなく離れた。


「寮の入り口までは一緒に居るからな」


「…ありがとう」


きっと五条くんと離れてしまえば、頭を埋め尽くすのは兄だけになる。


「もう少し…一緒に居たいのだけれど」


「なに?急に素直じゃん」


「そんな時があったっていいでしょう」


練習をするまでもなく、素直になれるなんて出来たものでしょ?


「わ、私のことが心配なら「寧々のことが心配なのは当たり前だろ。前回は帰らされたけど」


皆まで言わずとも分かってるのね。


「なぁ、寧々のことが心配だから、部屋まで着いてっていい?」

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