第5章 あの人と出会ってしまった
「うん、五条くんがいいなら今すぐ着いてきて」
今は…五条くんと一緒に居たい…そう強く思える。
言葉に出しても、五条くんは拒絶なんかしないって自信を持って言えてしまうくらいに。
「2人きりでいたいの。私の部屋に来て」
「ちなみにエロいことは「しない」
「少しだけ「気持ち悪い」
「ほんの少「本当に気持ち悪い」
「寧々、俺以外の男は連れ込むなよ!?」
「……五条くんだけよ」
もしかしたら、五条くんになら過去を話せるかもしれない。
けれども嘘偽りのない過去を曝け出した分、嘘偽りの関係が終わってしまうかもしれない。
兄に犯され続けた過去を知った五条くんは今度こそ、拒絶をするかもしれない。
五条くんなら受け止めてくれそうなのに、手放されてもしまいそうで。
「下心があるのなら帰って欲しいのだけど」
「安心しろ、今日は手を出さねぇ」
今日は、ね。
今後、手を出されたり五条くんが言う、それ以上のことをする気はないのだけれど。
私はどうしようもなく兄に汚された身。
それでも五条くんを…どうしようもなく想い始めている。