第10章 知らない女の子と五条くん
「硝子…っ、そんなの当たり前じゃない」
唯一の同性の同級生、話しやすいのは間違いなく硝子だった。
「「ちょっと待った」」
私の意思を尊重することのない待ったを掛けたのは2人。
五条くんと夏油くん、2人とも自分こそが名乗りを上げて立ち上がる。
「……は、恥ずかしいからとりあえず座って」
名乗りを上げた3人をひとまずは椅子に座らせて、ひとりひとりの主張を聞いていく…って、いつから私は取りあわれるポジションになっていたのかしら?
「俺は寧々の彼氏であり将来の旦那なんだよね。一生を共にする俺以上に寧々のことを理解してる奴はいない。まさに一蓮托生!」
「私は案外気概が寧々ちゃんとよく似ているんだ。似たもの同士、運命共同体のようなものだね。自分のことのように寧々ちゃんの事も慮れるつもりだ」
男子2人が高らかに宣言する中、初めに言い出した硝子はえらく冷静だった。
仮にも自分以外に立候補した人がいる中で、硝子は2人をじとりと舐めるように見つめて、余裕そうに口角を持ち上げた。
「中身だけじゃなく寧々の全部を知ってるのは私。毎日一緒にお風呂に入ってんのは誰だと思ってんの?」