第5章 あの人と出会ってしまった
「っし!帰るか!」
例に漏れず、五条くんはぐーっと背伸びをしてから高専に向かって歩き出した。
薄暗くなってきた道を五条くんと並んで歩く。
メインイベントが終わった後の帰るだけの道なのに、歩いているだけなのに
隣にいる五条くんがあれやこれやと水族館の感想を話すから。
つい釣られて自分の感想も話していると、やっぱり距離が短く感じる。
「次行く動物園はどこがいい?そもそも寧々は動物園に行ったことはあんのか?」
「水族館はなかったけど、動物園ならあるわ。小学校の校外学習で」
「…あぁ、やっぱ家族とはねぇのか。実質俺が初めてみたいなもんだな」
その口ぶりは、絶対に連れていくと言っているようなものね。
「楽しみにしてる」
「おう!最高のデートプラン練ってくるから任せとけ!」
「そんなに計画を立てるのが好きなの?」
「そう見えるか?」
五条くんは少し考え込んだ後
「寧々をエスコートするのが好きなだけ。自分1人だったら計画なんてどうだっていい」
「そうなのね」
出来ていたかどうかは別として、心意気は嬉しいものね。
「寧々?」