第5章 あの人と出会ってしまった
「そういうものなの?」
「当ったり前だろ。好きな人と同じものだから嬉しいんだからな?」
「私は五条くんのこと好きじゃ「あー、はいはい。分かりました。使うか使わないかは別として、俺これ買ってくるから。待ってろよ」
五条くんは大きな手でボールペンとシャーペンを2本ずつ掴むと、スタスタとレジに歩き出した。
「ん?」
それにしては、やけにレジまで遠回りをするのね。
他のお客さんの邪魔にならないように拓けた通路で待っていると、五条くんは可愛い紙袋を持って出てきた。
「1本ずつ入ってるから、どっちかは使えよ?」
「それじゃあ、私がシャーペンを使うから五条くんはボールペンを使って」
「微妙にお揃いじゃねぇ…」
「私達らしいと思わない?」
「っくく!そうかもな、俺達にはピッタリだ」
嘘偽りの恋人ごっこだもの。
ちぐはぐだっていいじゃない。
「五条くんは自分専用のも買ったの?」
私はお土産コーナーを見ているだけで満足だったけれど、五条くんの手には紙袋とは別のビニール袋がぶら下がっていた。