第5章 あの人と出会ってしまった
その後もイルカが横回転や高速回転ジャンプをするたびに、濁流のように水がかかった。
演目の中には「水かけ」というイルカが客席をめがけて、わざとプールの縁ギリギリでジャンプをするものもあった。
最初こそ濡れることに抵抗があったけれど、イルカの屈託のない可愛い顔を見ていたら、
ショーに夢中になっていたら、そんなことはつゆと消え去っていた。
「すごい、人を乗せていても上手に泳げるのね」
「上に乗ってるトレーナーも凄ぇんだよ」
人間とイルカの息の合ったコンビネーションには驚かされてばかり。
「最後は3匹のイルカたち全員による連続ジャンプです!!」
入り乱れるジャンプの応酬。
3匹が同じタイミングで大ジャンプを繰り出したり、順番にリズムよく飛び跳ねる。
引っ切りなしに水飛沫が飛んできて、顔に直撃した時は夢中になって避けられなかった自分を恨んだ。
それぐらいにショーのパフォーマンスは目を見張るものがあった。
鼓動がドッドッと響いて、目が離せない。
釘付けになって、イルカに魅了されていく。
すごく、楽しい…!