第5章 あの人と出会ってしまった
「でも傑なら言いふらさねぇだろうし、安心していいだろうな。問題は…あいつらだ」
「硝子と歌姫先輩には勘違いしてもらってた方がいいかもしれない。申し訳ないけどね」
まだ、その時じゃない。
確実に的確に、五条家の力を取り込んだ時には公言しようとは思う。
それが私にとっての追い風になるだろうから。
あとなんとなく、偽りの関係を公にするのは気が引けるから。
「ん、ごちそうさま」
「食べるの早いのね」
「まぁ男だからな。寧々は急がずゆっくり食べろよ」
私が食べ終わるまで待たせてしまうと思ってたけど、五条くんはニコニコと楽しそうだった。
「そんなに見られてたら食べづらいのだけど」
「あ、悪いな。寧々が可愛くてずっと見てたいんだわ」
「物好きね」
私が最後の一口を食べ終えると、五条くんは目をキラキラと輝かせていた。
「寧々、甘いもの好きなんだろ?」
「そうね、お土産にもらった喜久福も美味しかったし」
「俺のオススメだからな!……ここのカフェ、スイーツもあるんだよ。な?な?」