第5章 あの人と出会ってしまった
硝子も歌姫先輩も、私達が(条件付きの)恋人だということには気付いていないみたい。
むしろ、私が五条くんに振り回されてる被害者だと思い込んで、肩を持ってくれている。
「私達は今食べ終わったところなのだが、この席を使うかい?」
「いいのか?サンキューな、傑!」
席を立っていた夏油くんの手には、食べ終わったであろう3人分のプレートが乗っていた。
「退かないわよ!あんた達、話を聞かせなさい!先輩命令よ!」
「特に五条!なに寧々にちょっかいかけてんのよ!クズが!」
夏油くんは何も気にせずにプレートを返却口に置いて、こちらに戻ってくる。
「まあまあ、落ち着いて。私達はこの近くで任務があってね。早く終わったから、ふらっと寄ったんだ」
そう言って自然に席に着いて腰を下ろした。
「もちろん食べ終わった後は館内を見て回るよ。…さぁ、こちらの理由は明かしたのだからね。2人がここに居る理由も聞かせてもらおうか」
あの日、カマをかけた夏油くんは最終的には付き合っていることを確信したようだった。
それを踏まえて、理由を聞いてくるなんて下衆ね。