第5章 あの人と出会ってしまった
何と言い繕えばいいのだろうと考えていた私と違って、五条くんは
「俺が無理矢理誘ったの。寧々、付き合わせてこめんな」
あくまで硝子と歌姫先輩の勘違いに合わせるつもりね。
「次からは断るから大丈夫よ」
私達2人の小芝居に、夏油くんは含みのある笑みを浮かべ、硝子と歌姫先輩は私に同情の目を向けた。
「五条、あんたね!?寧々ちゃんは優しいから断れないの!そこにつけ込むなんて卑怯な真似を…っ」
「クズが移ったらどうすんのよ?」
…と同時に五条くんを責め立てた。
「硝子、歌姫先輩、落ち着いてください。五条くんは…そこまでクズではないです」
「寧々?」「寧々ちゃん?」
「今日1日一緒に居て、楽しくなくは…なかった…ので」
五条くんをフォローするわけじゃない…けど、誤解され続けるのも可哀想だったから。
「だ、だから…っ「はい、ストップ」
「「五条っ」」
「俺が寧々と2人きりで居たいから、お前らはどっか行け。寧々はどうか知らないけど、俺からしたら大事なデートの真っ最中なんだよ」