第5章 あの人と出会ってしまった
「魚を見た後に魚を食べるの?」
「見てもよし、食べてもよし。それが海なんだよ」
五条くんは訳の分からない理屈を振りかざして、入り口以上に混み入ったカフェに着くや否や
「座るとこを先に確保してから注文だとよ。どっか空いてるとこ…」
背が高いというのは、こういう時に便利なのね。
「奇遇だね、2人とも」
「お、傑じゃん!」
視界の端からぬらりと現れたのは夏油くんだった。
「まさかこんなところで会うなんてね。ふふ、邪魔をしてしまったかな?」
夏油くんの後ろを見ると、席に座った硝子と歌姫先輩もいた。
「ちょっと五条!なんであんたが寧々と一緒に居るのよ!?」
「そうよ!可愛い後輩を五条なんかにあげたくないんだけど!」
2人きりでの水族館だなんて、どう言い訳したらいいのかしら…。
「硝子、歌姫先輩、違うんです。これは…」
「大丈夫よ寧々、五条に付き合わされてるんでしょ?次からは断っていいんだからね!」
「しょ、硝子…」
「五条あんたね?寧々ちゃんに手出したら許さないから!」
「う、歌姫先輩…」