第5章 あの人と出会ってしまった
「…これで全部だな。1時間じゃ見切れなかった分も今日で沢山見られたんじゃね?」
「そうね。海の生き物をよく知るいい機会になったし、見聞を広める意味でも…」
広い館内の展示をゆっくりと見て回るのは、勉強になったしとても癒された。
知識も深まったから、来てよかったと思える。
私が解説パネルを熟読してる間、五条くんは黙って待っててくれた。
付き合わせて悪いなと思う以上に視線を感じたけれど、退屈させてしまったのかしら。
「寧々?デートなんだからな?社会科見学みたいな感想だけどよ」
「…そういう五条くんの感想は如何程なの?」
「俺?俺はー…寧々が楽しそうで嬉しかったな。正直どの生き物よりも寧々が可愛かったわ」
「2度と水族館に来ないで欲しい人間ね」
五条くんは冗談だからー!なんて騒いでいたけど、面倒くさいから会話を切り上げることにする。
「お腹空いてるんでしょ。お昼にしましょう」
「よし、じゃあカフェに行こう。海鮮丼ランチが美味いらしい」