第5章 あの人と出会ってしまった
「あいつだけずば抜けて大きい理由が分かったな」
「ボスみたいだったわね」
他の参加者の人からも強奪するように、手当たり次第のアジを食べていたペンギン。
傍若無人な振る舞いは、ペンギンにもあり得ることなのだと知った。
「あ、お金」
「約束、な」
「…ありがとう。とても楽しかったわ」
「俺と一緒のデート、楽しいだろ?」
「いえ、ペンギンへの餌やりが」
可愛いペンギンにエサを与えるのはとても楽しかったけれど。
隣で私以上にはしゃぐ五条くんを見るのも、少しだけ楽しかった。
「楽しい思い出」が作られていく瞬間を共有しているみたいで。
本人に伝える気はないけどね。
それでも思わず笑いそうになったくらいには楽しい体験だった。
「さてと、次は海獣のオンパレードだな!アシカにオットセイに…」
「トドとセイウチね。見分け方、覚えてる?」
「あー…アレだな、オットセイの方がふさふさしてて…んーと…な?」
「曖昧ね、勉強し直しよ。私はちゃんと覚えてるんだからね」
だってそれも含めて、楽しい思い出なのだから。