第5章 あの人と出会ってしまった
ラッコの夫婦の次は屋外にあるペンギン水槽。
「見て寧々、1人300円でペンギンに餌やり体験出来るってよ!やろうぜ!」
五条くんが指差した方を見ると、係のお姉さんが「受付中」の札を持って宣伝していた。
「2人でお願いしまーす!」
「ありがとうございますー!料金は前払い制になっておりまして、600円頂戴致しますね」
「ごじょっ…」
勢いよく駆け出して行った五条くんに追い付いた時には、もうお金を払って引き換えにアジが3匹入ったバケツを貰っていた。
「それでは2名様、ペンギンさん達はお魚を見るとすぐに寄ってきますので、魚を逆さまにして頭の方から与えてくださいね!」
「はーい!うわっ、本当にすぐ寄ってきたっ、可愛い〜!」
「本当だ、凄く可愛い」
ペンギン達はトングで掴んだアジを口をガバッと開いて見上げながら、羽をバタバタさせている。
「おいっ!こいつ2匹も食いやがったぞ!贅沢者め!」
「あっ…、あの子にあげようとしたのに横取りされちゃったわ」
私も五条くんも同じ食いしん坊のペンギンに翻弄される。