第3章 任務と楽しい思い出
「呪力を私に触れさせないで」
「ククッ、呪力もダメなのかよ」
五条くんはクックッと笑うと、私を解放した。
「何でなら触れるんだ?」
「何だろうと無理よ」
妨害が無くなれば、驚くほど簡単に乗り移ることが出来た。
「俺が押してってやるよ」
「そういうことになってしまうのね」
それは凄く不本意だけど、心のどこかで五条くんが近くにいることは嫌ではなかった。
すぐに気付かないフリをしたけれど。
医務室で治療を受けた私は、反転術式での治療もあってか痛みは取り除かれ、おぼつかないながらも歩く事ができた。
完全に元通りになるには自分の治癒力次第で、1ヶ月は見積もった方がいいと助言された。
私は散々断ったけど、五条くんが強引に寮の入り口までついてきた。
「男子寮はあっちだけど」
「俺のせいで怪我させたんだから、付き添いくらいするだろ」
「五条くんのせいじゃないから」
「いーや俺のせいだね。寧々を守れなかった俺が悪い」
「そう?そう思ってるなら…」