第3章 任務と楽しい思い出
「大丈夫」
腕の力だけでは座席に密着していない、距離のある車椅子には移れず、仕方なく足をつくしかなかった。
「五条くんの手伝いなんて要らないか…らっ!?」
ほんの僅かに力を入れるだけでも左の足首に激痛が走る。
「その様子だと折れてるんだろ?無理するなって、俺が手伝っ「嫌、触らないで」
「俺に手伝わせろよ」
「絶対に嫌」
「触らせろ」
「気持ち悪い」
五条くんは手を差し出してにじり寄ってくるけど、頼るわけにはいかない。
「あ、そうだ」
自分の体を呪力で浮かせる。
敷地内での呪力の使用許可は…まぁ、何とかなるでしょ。
廃工場の中から外へ転移した時みたいに、座席から車椅子への移動を試みる。
直接医務室へ行ければ何よりだけど、障害物が多すぎてそれは不可能。
「……?」
体は僅かに浮くものの、呪力が上手く流れず転移できない。
こんなにも短距離の一瞬だけの移動すら出来ないなんてこと、今までなかったのに。
「五条くん」
「なに?寧々」
自分の体に流れる他人の呪力。
「邪魔してるでしょ」
その供給源を睨みつけると
「バレた?」
あっけらかんと罪を自白する犯人。