第3章 任務と楽しい思い出
一度目を伏せて再度五条くんを見ると、その目は爛々と輝いていた。
「心配だから部屋までついてっていいのか!?」
「ううん、五条くんが悪いと思うなら今すぐ帰って」
「寧々の部屋にか!?」
「五条くんの部屋に」
意気消沈した様子の五条くんは
「寧々、大好きだよ。俺は…な…」
捨て台詞を残してトボトボと男子寮に帰って行った。
良かった、これ以上一緒にいたら身がもたない。
五条くんに抱えられたときから、ずっとおかしいの。
おかしいのが直らないの。
また、またなの。
胸の鼓動が鳴り止まない。
ずっとドキドキしっぱなし。
こんなにもいつまでも続くなんてありえない。
「…っ」
五条くんの腕に抱かれた…そのことを思い出すと余計に騒めく。
「今日も楽しかったわよ、私はね…っ」
呪霊の討伐に当たって怪我をしておいて、こんなことを思うなんて、私も不謹慎なのね。
五条くんが同じ事を思っているかは分からないけれど、何でもない日にはできない。
私の中で「楽しい思い出」がまた一つ、増えてしまった。