第3章 任務と楽しい思い出
「触らないでほしい寧々に触れて、俺…少しだけ喜んでる」
「……」
「不謹慎な野郎だと思ったか?罵ってもいいぜ」
罵ってもいいぜ…なんて、こんな優しそうに笑う人に罵詈雑言なんて吐けないのだけど。
「次寧々に触れる時はさ、ちゃんとお互い合意の上で触るから。それなら問題ないだろ?」
「合意なんかしないけど」
「したくなるようにさせるからさ。楽しみにしとけよ?」
自分でハードルを上げて馬鹿みたい…とは思えなかった。
五条くんならきっと合意こそしないけど、楽しいことを、楽しい思い出をくれると思った。
……思ってしまった。
「さてと、後半は大人しく抱かれててくれてありがとな。これ以上は触らないでやるよ、今はな」
五条くんは迎えの車に私を乗せて、隣に座った。
「悪いんだけど、寧々怪我させちゃってさ。高専ついたら車椅子持ってきてくれます?それで医務室まで連れてくからさ」
高専に着いた後、補助監督の人は五条くんに言われた通りに車椅子を手配してくれた。
「おっと…!寧々、自分で乗り移れそうか?」