第10章 知らない女の子と五条くん
「いつまでも寧々にカッコいいって思ってもらえる俺でいたいだろ。言わせんな」
「カッコいいと言った記憶は無いわ」
思った事は…ある、けどね。
容姿に関してなら100点を付けない人はいないでしょうね。
でも……そんな見た目を持っていても、内面の方がカッコいいわよ、なんて絶対に言わないけれど。
「五条は手に入れた後も取られないように努力してるってことでしょ。方向性は若干おかしいけどね」
「硝子…っ」
硝子は赤いセクシーな下着が入った紙袋をひらひらと揺らす。
おちょくられているような、また爆弾発言をするように誘導されているような、挑発めいたものを幾度と感じる。
「まっ、外野の意見としては五条がベタ惚れで寧々のこと離さないだろうけど」
「当ったり前、それに…そのうち寧々も俺にベタ惚れになる予定」
「それはあり得ないわね」
「でも寧々、五条と付き合ってはいるんでしょ?案外時間の問題かもよー」
硝子は当然のように前置きをして、店内の時計をチラリと見た。