第10章 知らない女の子と五条くん
「お待たせいたしました。青空パフェとジャンボパフェでございます」
両手でトレーを運ぶ店員さんはずっしりと重い特大のパフェを五条くんに、誰かさんの瞳のような色のゼリーに誰かさんの髪によく似た白いホイップクリームがあしらわれたパフェを私の前に置いた。
存在感のあるジャンボパフェは、ゼリーの有無以外の使用されているアイスや果物、スポンジなどは一緒なのに、青空パフェと違って圧巻のボリュームを放つ。
それこそ高身長で図体の大きい五条くんの前に鎮座しても遜色ないくらいに。
メニュー表と比べてもパフェの方が大きいってすごい迫力ね。
「五条くん、それだけで足りる?」
どんなに質量の多いパフェよりも、それすらも包み込んでしまう胃袋の心配をするのは当然でしょう?
「足りてないのは寧々からの愛情なんだけど?」
「追加トッピングは出来ないみたいよ」
「冷てぇ…寧々……」
「アイスよりは温かいんじゃないかしら」
昔に比べたら、ね。
この気持ちはとても温かで大切なものだから。
「はいはい、もう2人のいちゃつきでお腹いっぱい。ちょっと席外すね」
硝子は五条くんに「ゲロ甘」と吐き捨てて、店外にタバコを吸いに行った。