第10章 知らない女の子と五条くん
一応、誤解を解いておいた方がいいのかしら?
「ねぇ、五条くん「あっ、あの…っ」
料理をほぼ食べ終えた私の話を遮ったのは、提供に来た店員さんではなかった。
両断するつもりはなかったのだろうけど、視線が五条くんしか捉えていないのがありありと伝わる。
私と硝子なんて眼中にないのでしょうね、恥ずかしそうにもじもじしながら五条くんだけを見つめている女の子。
「五条、知り合い?」
突然の知らない女の子の登場に、硝子が眉を顰める。
歓迎…はしていない。
「五条悟くんだよねっ。私、中学3年間同じクラスだったんだけど…っ」
ふわふわとした天然パーマの髪の毛が印象的な、絵に描いたような女の子の理想形。
ゆるふわ、とでも言うべき?
「ひ、久しぶりだね、お、覚えてる?」
小鳥の囀るような愛らしい姿と声をした彼女は、今にもとろけてしまいそうなほど頬が緩んでいる。
その仕草や言葉から、初対面の私や…もちろん硝子だって分かってると思う。
この子、五条くんのことが好きなのね。
五条くんに会えて嬉しいって気持ちが、隠しきれずに顔に出てる。
恋愛事に疎い人でも分かる、恋してる女の子の顔。
「あー…、うん、覚えて…」