第10章 知らない女の子と五条くん
「なんとなくよ、なんとなく」
平然と冷静を装って言葉を紡ぐけど、僅かに震える言葉尻と足元。
「なんとなく、ねぇ…。ま、そういうことにしとこうか、今は」
「理解のある友人で嬉しいわ」
理解をし過ぎて解を紐解き過ぎた…友人だけれども。
悪友とでも言うべき?
「っくく…ぅ!」
そして、この状況を一番面白がっているのは悪友の硝子ではなく、目の前の五条くん。
「寧々っ…っっ、」
全ての正解を知っている五条くんだからこそ、この状況が面白おかしくてたまらないのでしょうね。
「はぁ…、五条くん…」
「寧々、可愛いな…っい、でぇっ!」
メニュー表って、五条くんを叩くためにあるのよ。
そういうことにしておきましょう、今はね。
「変なことしてたら冷めちゃうじゃない」
「俺の寧々への気持ちは冷めないけど?」
「火傷する前に手放した方がいいわよ、そんなの」
か、間接キスに抵抗がなくなる…とか、弊害が出てくるから。
隠し持っていたつもりが「今」火傷として、表面に出てきてしまった私が言うんだから、間違いないわ。
でもね……