第3章 任務と楽しい思い出
「どういう意味…っ」
全部を消し去ったはずの呪霊がそこにいる。
「凡ミスだな、寧々は囮に騙されたんだよ」
「囮…っ?」
「俺達の前に自分からのこのこ出てきたのは、あいつが一番弱い囮だったから。おそらく分身だろ?」
呪霊は五条くんの問いかけに金属音のようないななきを返す。
「何体いるか分かんねぇけど、本体はどこかで俺達を見てる。高専側が数と等級を見誤ったんだろ」
「本体は1級じゃない…ってこと?」
「だろうな、本体は特級に匹敵するくらいの大物で、力の弱い分身から俺達に仕向けてるんだろ」
「……気に食わない」
私が呪霊の策略にまんまと騙されたことも、五条くんは見抜けていたことも。
散々なほど自分が愚かに思えてくる。
水無月家の誰よりも強いなんて、海を知らない井の中の蛙だった。
「つーことで、俺はさっさと本体見つけて祓ってくるから寧々は雑魚の相手よろし「私が本体を潰す…!」
「寧々はまだ特級じゃないんだから、ここは俺に任せて「潰す」
改めて気づいた自分の弱さ。
消化しきれないクソみたいな劣情に呑まれる。