第10章 知らない女の子と五条くん
「頭を回すには甘いものが良いけどさー、寧々とお揃いが1番だって」
まだ不満を垂れる五条くんは、むすっとした顔のままレモネードをゴクっと飲んだ。
「うーわ、甘酸っぱいね、これ」
「五条にピッタリじゃん」
「なんでだよ」
硝子チョイスの飲み物に訝しげな五条くん。
「甘酸っぱい恋でもしてんでしょ。報われてんのか知らないけど」
「そういう硝子は苦い恋でもしてんのかぁ?恋愛なんて興味ないだろ」
「そうだね、今は寧々の気持ちを応援するので精一杯。自分のことなんて後回しかも」
「えっ…っ、硝子…!」
予想外の飛び火に面食らう。
飲みかけのカフェラテをごくんっと喉に落として、まだ余韻の残る口と混乱する頭。
スッキリしないのは口の中も頭の中も同じ。
「わ、私の気持ちって…そ、それって…」
もしかして、硝子にはお見通しなの?
発破を掛けても煮え切らない私に、追加の爆弾を落とした硝子。
「おおよその予想はついてるけど、寧々の口から聞くまでは知らないフリをしてるだけ」
「しょ、硝子っ…」
「別にすぐ気付いたわけじゃないよ。でも…そろそろ隠しきれなくなってるんじゃない?」