第10章 知らない女の子と五条くん
程なくして警察が駆け付けると、盗みを働いた男は前科があり、警戒及び捜索していたと告げられた。
それなのに…お手柄の五条くんは誇らしげになるどころか、終始ムスッとした顔で不貞腐れていた。
「俺の寧々を危険な目に合わせたあいつを許さねぇ」
結果として何も盗られずに済んだけれど、一度でも盗んだことにご立腹なようだった。
「やっぱり俺が寧々の隣にいないとダメだ」
五条くんは私の真横にいる硝子を上からじろりと見下ろす。
「寧々から離れろよ。寧々は俺が守る」
「やだよ。寧々のことを変な目で見るような奴には譲らない」
そのやり取りはお目当てのカフェに入って、着席してもまだ続いた。
4人掛けのテーブル席に私と硝子が並んで座り、向かい側に五条くんが1人で座った。
それも大層気に食わないらしく、五条くんはご機嫌斜めだ。
「私は和風スパゲティにする。飲み物はコーヒー。寧々は?」
「カレーソースのオムライスにするわ。それからカフェラテを。五条くんはどうするの?」
「もちろん寧々とお揃いの「五条はハンバーグね。飲み物はレモネードにしてあげる。あ、注文お願いしまーす」