第10章 知らない女の子と五条くん
「ち、違うから…!硝子っ、勘違いしてる五条くんを何とかして!」
「はいはい、寧々がそう言ってるんだから、五条はもっと離れなよ」
「ご、五条くんが先を歩いてくれる?この道を真っ直ぐだから」
丁度駅ビルを出たところで、あとは道なりに進むだけ。
真っ直ぐ歩いていれば迷子にもならず、お目当てのカフェに辿り着ける。
「俺がカフェを通り過ぎた後、2人だけで入店するとかナシだからな!?」
これ以上詮索をされたくない私は、無理矢理な提案を押し通して五条くんを前に行かせた。
人間20人分くらいの距離をあけて歩く。
チラチラと後ろを振り返る五条くん、お揃いのショップの袋を持った私と硝子。
側から見ると他人にも見えなくない距離で、ランチタイムのカフェに向かう。
「五条ー!そこの水色のお店ー!」
外観を知らないであろう五条くんに硝子が呼びかける。
「うわ…すげぇ男が入りづらそうな店」
目的地が見えてきたというのに、五条くんは足を止めた。
「寧々ー!硝子ー!牛丼屋にしねぇ?」
「するかバカー」「1人でどうぞー」