第10章 知らない女の子と五条くん
1つの疑問を投げかけた。
「そうしたいんだけどさー、傑が女の子には優しくしろって言うんだよ。…結果として寧々を不安がらせちゃったけどな」
五条くんは「ごめんな」と続けて、私の髪スレスレを撫でるフリをした。
「念の為に言っておくけど、寧々以外には触らせないからな」
「そ、それは別に…」
良かった、なんて思ってしまった。
密着しそうなほどギリギリまで近づいていたお姉さん方に、少しだけヤキモキしていたから。
す、少しだけ…ね。
こんな嫉妬心を見透かされるのは、もっと恥ずかしいから自分からは言わないけど。
「次からはキッパリ断るから。優しくするのは寧々だけにする」
「ちょっと五条、寧々から離れなさいよ。近過ぎる」
「硝子…?」
硝子は私の隣を歩いていた五条くんを引っぺがして、代わりに自分が私の横に並んだ。
「硝子っ!俺に触るな!寧々が嫉妬するだろ!」
「しないわよ、硝子には」
「…硝子には?」
五条くんに突っ込まれた時には、もう自分でも「しまった」と気付いていて。