第10章 知らない女の子と五条くん
「硝子!」
五条くんの手を振り払って、硝子の元に寄りたかった。
…けど
「寧々、俺が他の女に話しかけられたら嫌でしょ?」
五条くんが女避けと言わんばかりに、私の手を固く握った。
…けれども
「五条、寧々は人前で手を繋いで喜ぶタイプじゃないってよ」
硝子がピシャリと制してくれた。
「…そうなの?寧々」
「は、恥ずかしいから…っ、離してっ」
さっきから感じる視線はまた別物で。
通り過ぎる人々があのイケメンが手を繋いでいるのはどんな子?と含みのある顔で通り過ぎていく。
まるで…いいえ、事実として五条くんに吊り合うかどうかの品定めをされているようで。
とても、居た堪れない。
「寧々、ごめんな」
五条くんは気を遣って、繋いでいた手をぱっと離した。
それでも五条くんの視線は私を向いていて。
「五条くん、ちゃんと前を向いて歩かないと危ないわよ」
「寧々しか見たくないんだよ。言わせんな」
硝子が「すげぇ溺愛してんじゃん」と茶化す。
そして続け様に
「五条なら逆ナンなんて慣れっこじゃない?もっとバッサリ断るのかと思った」