第10章 知らない女の子と五条くん
目撃情報は全部、五条くんで間違いないみたいね。
「五条、冥冥さんはいないけど、私ならいるよ。早く戻ってきて、お腹空いたんだけど」
「俺のせい!?硝子が寄り道するって言ったんじゃん」
私から携帯を借りた硝子が問答無用で五条くんに詰め寄る。
「ハハ、そんなの言ったっけ?あ、五条見えてきたじゃん。目立つからすぐ分かるよ。そんじゃーねー」
遠くの方から歩いてくる頭一つ分抜けた長身の男性。
白髪であることもゆうに確認できる大男を見つけた硝子は、有無を言わさず電話を切った。
「本当あいつ悪目立ちするよね」
「五条くんからは私達が見えてないでしょうけどね」
近くにあったベンチに腰掛けて、行き交う人々を何度も見送る。
何度も…何度も……。
人波が何度も流れていく。
「五条こなくない?」
「この距離で迷子にでもなったのかしら」
ベンチから立ち上がって、白い頭の見えた方を確認する。
「進んでなくない?寧々はどう思う?」
「立ち止まってるように見えるわね。こっちから出向いた方が良さそうだわ」
何か興味の惹かれるものでもあったのかしら?
それは分からないけど…早くご飯も食べたかったし、五条くんの方へ歩いていくことにした。