第10章 知らない女の子と五条くん
「今さ迷子の女の子を無事に家族に送り届けたとこでさ、電話出れなくてごめんな」
「そうだったのね。人助けなんて凄いじゃない。今はどこにいるの?私達はもう買い物終わったのだけど」
……ほら、五条くんはやっぱりとっても優しい人だ。
知らない女の子に声を掛けるのは、男性なら躊躇う人もいると思う。
そこでサッと行動を起こせる五条くんは素敵な人ね。
……本人が自分の容姿なら警戒されないという自負もあるのだろうけど。
「あー…今はサービスカウンターにいる。すぐ寧々達のとこ戻るから」
「そう、私達は今、五条くんを探してメガネ屋さんの辺りにいるの」
「りょーかい。んじゃ、そっち向かう」
会話はそこで終了してもいいのに、五条くんは電話を切らなかった。
「女子の買い物ってなげぇよな」
「見るだけでも楽しいからじゃない?」
「んなもん、パパッと決めろよ。お陰で俺は暇つぶしを余儀なくされ…」
聞き齧った情報では、それなりに満喫していたみたいだけど?
本人という確証はないけど、確信はあった。
「五条くん、モンブラン食べた?」
「何で知ってんの…?もしかして携帯って匂いも伝わる…?」
「サングラスも見てた?」
「視覚共有…?冥さんでもいるの…?」