第10章 知らない女の子と五条くん
「寧々、一応メガネ屋も探しとく?」
通りすがりのおば様のマシンガントークを聞いた硝子が、念の為と言って影響を受けたのか提案をした。
「見てくれは悪くないからね、五条」
「中身と引き換えに綺麗な見た目だものね」
あのおば様達は、五条くんが自己中を極めたクソガキということは知らないだろうから。
……それに、凄く優しい人だってことも。
五条くんの性格は捻くれてると思うこともあるけど、なんだかんだ一緒にいたいと願ってしまう。
不思議な性格の持ち主。
擦り合わせたわけでもないのに、五条くんの隣は不思議と居心地がよくて。
昨日よりも今日の方が、今日よりも明日の方が…「楽しい思い出」は連鎖して、増幅していく。
「五条くんらしき人はいない…わね」
メガネ屋さんに着いてもそれらしき人影はない。
「…!五条くんからだわ」
無言を貫いていた携帯電話が、ここぞとばかりに着信を告げる。
「もしもし五条くん?」
「あー…寧々?今さ…」