第3章 任務と楽しい思い出
「私1人で大丈夫、単独の1級個体くらい平気」
「今日の寧々は凡ミスしそうな気がするからダメ、なんか浮ついてるもん」
「誰のせいで…っ!ーーっ、来る!」
今は使われていない廃工場の中に感じる邪悪な気配。
随分と好戦的な呪霊はすぐに姿を現した。
「手出ししないでよね」
「それは無理、寧々に怪我させたくねぇからな」
錆びた鉄のような赤褐色の体から飛び出る無数の腕。
体長こそ3メートルほどで凄く大きいわけではない。
おそらくはその無数にある腕で攻撃を仕掛けてくる、所詮よくいるタイプ。
触手のようにぬらぬらとうごめく内の一本が、私の足を狙ってぐにょっと伸びた。
「五条くんには用ないみたいよ?」
最初から敵わないことが分かっているのか、それとも弱い方から潰すのか。
私だけを的確に狙って攻撃をし続ける…けど、当たるわけがない。
「私には触れさせない、その腕一本たりとも」
「見事なバリアだな。俺の無下限術はマニュアルで出力してるけど、寧々のはどういう仕組みなわけ?」