第3章 任務と楽しい思い出
そんなこんなで任務に向かう車には五条くんも乗り込んだ。
「今日も隣同士だな」
「それが面白いとでも?」
五条くんはニヤニヤしながら、運転席の補助監督の人には絶対に分からない話を持ちかける。
今日「も」って言い方が、いかにも昨日のバスでの出来事を意識しているみたいで。
「寧々といると何だっておもしれーんだよ」
「大々的に言うことじゃないでしょ」
私達の歪な契約上の関係のことは、誰にも知らせず伏せておきたい。
「っし!行くぞ」
「また先に降りるのね」
「おう、まただな」
「……!」
五条くんのペースに流されて、私まで昨日のバスでのことを意識してしまう。
完全に五条くんにそそのかされた、私は…悪くない。
「お気をつけて」
帳を下ろした補助監督の掛けた言葉は、私にのみ向けられていた。
五条くんなら手こずるはずもない、元々は私1人に割り振られた任務なのだから。
「ねぇ、呪霊は私が祓いたいのだけど」
「ホンットに謙虚だな。心配すんなよ、俺に任せとけ」
バスの運賃や水族館の入館料と違って、この任務は私がこなすべきものだったのに。