第3章 任務と楽しい思い出
「ーーっ!」
体格差こそあれど、そこまで大きな実力差はないと思ってた。
「く…っ!」
それなのにどうしてか、1人で空に向かって術式を放つ五条くんが気になって、
チラチラ視界に映る彼を無意識に目で追ってしまって、目の前の夏油くんに集中できない。
「…っハァッ!!!」
男女の違い、体格差があるからこそ、それを活かして小回りを利かせ俊敏に動き翻弄する…はずが
「ゔっっっ!!!」
身を翻した際に肩に喰らった、鈍い痛みに膝をつかざるを得なかった。
「すまない、寧々ちゃん立てるかい?」
「う…、大丈夫…だから…っ」
前線では一瞬の油断も命取りになるのに、どうして私…。
「寧々!大丈夫か!?硝子、早く寧々に治療しろ!」
視界の端にいたはずの五条くんがすぐ傍まで来ていた。
「寧々!」
既に駆け寄っていた硝子が心配そうに私を見つめる。
「本当に大丈夫、怪我はしてない」
「バカ!跡になったらどうすんだよ!」
そう言ったのは五条くんだった。
「傑は悪くねぇ!誰も悪くねぇけど、寧々の体に傷がつくのは許せねーんだよ」